比較対象の概要
本回答では、主要SNSである X(旧Twitter)、YouTube、TikTok、Instagram、Facebook のユーザー属性(年齢層・性別比)について、日本国内と世界全体での傾向を比較します。特に 「主要な利用年齢層」 と 「性別比(男性/女性)」 に注目し、最新のデータ(2023〜2025年) を優先してまとめます。各SNSごとに日本と世界のデータを示した後、最後に属性の違いと日本と世界での使われ方の違いを分析します。
X(旧Twitter)
- 日本: Xの利用者は10代から50代まで幅広く存在します。特に**20代の利用率が非常に高く、約82%**にのぼります。10代も約65%が利用し、30代も60%超と高い水準です。40代でも約4割、50代でも3割台が利用しており、若者以外にも浸透しています。男女比はほぼ同程度で、男性と女性で大きな差はありません(総務省調査では男性利用率44.3%、女性46.2%との報告もあります)。
- 世界: 世界全体では、18~34歳の若年層がユーザーの約7割を占め、特に25~34歳が最大の層です。13~17歳の利用はごく一部(全体の約2%)で、50歳以上は全体の7%程度と日本より高齢層の割合が低くなっています。**男女比は男性が約63.7%、女性が約36.3%**と男性ユーザーの方が多い傾向にあります。
YouTube
- 日本: YouTubeは日本国内で全世代に普及しています。10代~40代では利用率が90%以上と極めて高く、特に20代は97.2%とほぼ全員が利用しています。50代でも約8割近く、60代でも約66%が利用しており、主要SNSの中で最も幅広い年齢層に使われています。男女比はほぼ男女同数で、大きな偏りはありません。
- 世界: 世界的にもYouTubeは年代を問わず利用されています。18~34歳が全体の約37%を占めますが、35~54歳も約32%と存在感が大きく、中高年層まで幅広いユーザー層を持ちます。これは他SNSと比べても突出しており、各国で全ての年代層において利用率トップとの報告もあります。**男女比は男性約54%:女性46%**でやや男性が多い程度ですが、概ね男女バランスよく利用されています。
TikTok
- 日本: TikTokは若年層中心のSNSです。日本では10代の利用率が62.4%と突出しており、次いで20代も半数前後が利用しています(総務省データでは全体25.1%の利用率から推計)。30代以上になると利用率は大きく下がり、60代ではわずか13%に留まります。性別比は女性ユーザーがやや多く、男性の約22%に対し女性は28%が利用しているとの調査があります。つまり日本ではTikTokユーザーは若い女性に多い傾向です。
- 世界: 世界全体でもTikTokは若者に人気ですが、その主力はやや上の年齢層まで広がります。18~34歳が全ユーザーの6割超を占め、特に25~34歳が最大の層です。一方で13~17歳のティーン層のデータは限定的ですが(広告データでは計上が限られるため)、18~24歳も約30%を占め依然大きな割合です。**男女比は男性約55.7%:女性44.3%**と、世界全体では男性ユーザーの比率が日本より高くなっています。ただし各国によって差があり、TikTokは地域によって女性ユーザーが多数を占める場合もあります。
- 日本: Instagramは若年層(10~30代)に人気のSNSです。日本では20代の利用率が78.6%と最も高く、10代~30代が主なユーザー層です。40代以上でも利用者はいますが、50代で約51.7%とやや半数程度まで低下します(60代はさらに低いと推測されます)。特徴的なのは女性ユーザーの比率が高いことで、男性の利用率42.3%に対し女性は54.8%と女性が上回っています。一部には「女性ユーザー数が男性の約2倍」との指摘もありますが、少なくとも女性が男性より多いことは確かです。
- 世界: Instagramは世界全体でも若者中心ですが、そのユーザー属性は日本ほど偏っていません。18~34歳が主要層(18~24歳が約31.6%、25~34歳が約33.0%)で、25~34歳が最大の割合を占めます。35歳以上も全体の35%程度おり、幅広い年代に利用されています。男女比は男性約52.7%:女性47.3%とほぼ均等に近いバランスです(むしろ僅かに男性が多い)。これは日本に比べ世界では男性ユーザーの比率が高いことを示しており、地域別に見ると欧米では女性優位、アジアや中東では男性優位など差異もあります。
- 日本: Facebookは30~40代の社会人層に支持されている傾向があります。日本では30代の利用率が45.7%で最も高く、次いで40代がこれに続きます。一方、10代ではほとんど使われていないのが大きな特徴です。20代も他SNS(XやInstagram)に比べると利用率が低く、Facebook離れが顕著です。男女比はやや男性が多く、男性利用率34%、女性31%との報告があります。全体として日本のFacebookユーザーは中年層・男性寄りと言えます。
- 世界: Facebookは世界最大のSNSだけあり、ユーザー層も世界全体では幅広いです。とはいえ中心は**若い成人層(18~34歳で全体の過半数)**で、特に25~34歳が最大ボリュームゾーンです。18~24歳も約22%を占め、発展途上国を中心に若年層ユーザーも依然多い状況です。35歳以上も約4割存在しますが、高齢になるほど比率は下がっていきます。**男女比は男性約56.7%:女性43.3%**と男性優位ですが、地域によって差が大きいプラットフォームです(例えば北米や東欧では女性ユーザーが過半というデータもあります)。
SNS属性比較表(日本 vs 世界)
各SNSにおける主要なユーザー属性を、日本と世界全体で比較してまとめます(年齢層は特に利用者の多い年代、性別比はユーザー全体に占める割合)。数字は主な調査結果より引用しています。
SNS | 日本:主要な利用年齢層(利用率など) | 日本:性別比(男性:女性) | 世界:主要な利用年齢層 | 世界:性別比(男性:女性) |
---|---|---|---|---|
X(Twitter) | 10代~50代に幅広く利用(特に20代:約82%)40代でも約4割が利用 | ほぼ同数(男性≒女性) | 18~34歳が約7割(25~34歳最多) | 63.7%:36.3% |
YouTube | 全年代で利用率高(10~40代は90%超、20代~97%)60代でも約66%利用 | ほぼ同数(男性≒女性) | 幅広い年齢層(18~34歳約37%、35~54歳約32%) | 54%:46% |
TikTok | 若年層中心(10代:約62%、20代中心)高年層は低利用(60代:約13%) | 女性多め(男性22%:女性28%) | 18~34歳が約66%(25~34歳最多) | 55.7%:44.3% |
若年層中心(10~30代、20代:約79%)40代以上は利用減少(50代:約52%) | 女性多め(男性42%:女性55%) | 18~34歳が約64%(25~34歳最多) | 52.7%:47.3% | |
中年層中心(30~40代、30代:約46%)10代はほぼ未利用 | 男性やや多い(男性34%:女性31%) | 18~34歳が約53%(25~34歳最多) | 56.7%:43.3% |
※日本国内の年齢別利用率は総務省「情報通信に関する現状報告」(令和5年版)等に基づく調査結果。世界の割合は各プラットフォームの広告ツールが公表する推計ユーザーデータ(2025年1月時点)に基づいています。世界データは18歳以上のユーザーが中心である点に留意してください。
まとめ・分析:日本と世界における違い
以上の比較から、各SNSごとにユーザー属性の特徴と、日本と世界での違いが浮き彫りになりました。
- X(旧Twitter)の特徴: 日本ではXは若者から中高年まで幅広い年代に利用されています。匿名で気軽に情報発信・収集ができる特性から、日本では他のSNSにない役割で定着しており、男女問わず多くの人が利用する「オープン型SNS」の代表格です。一方、世界全体では若年成人(特に20代男性)に利用者が集中し、ユーザー数に対して男性比率が高いです。日本におけるXの突出した人気は、国内での匿名文化や情報収集ニーズと合致したことが一因と考えられ、世界的な平均像とは異なる利用構造になっています。
- YouTubeの特徴: 日本・世界ともに最も裾野が広いSNSであり、年代別・性別の偏りが最も少ないプラットフォームです。日本ではLINEと並んで国民的インフラと言える存在で、世界的にもインターネットの普及と歩調を合わせるように利用者が拡大しています。男女比は日本では完全に均等、世界でもほぼ半々であり、老若男女問わず利用される動画プラットフォームとして共通しています。若干の違いとして、世界全体ではインターネット普及率の関係で男性ユーザーが多めになる傾向がありますが、コンテンツ消費という観点では日本も世界も似た利用実態だと言えます。
- TikTokの特徴: 若年層に特化したSNSという点は日本も世界も共通していますが、その広がり方に差異があります。日本では特に10代での利用率が非常に高く、流行発信源として定着しています。20代でも人気なものの、30代以上では認知・利用がまだ限定的で、若年層の文化という色合いが強いです。性別も日本では女性にやや偏ります。一方、世界全体では公式には18歳以上のユーザーが中心に計上されることもあり、ユーザーの中心は20代前後と日本より少し高い年齢層までカバーしています。また男女比も日本より男性寄りに出ています。これは各国のユーザープロファイルやデータ計測方法の違いによる部分もありますが、日本ではティーンの女子を中心に流行し、世界ではもう少し幅広い若者層に拡大している、と言えるでしょう。
- Instagramの特徴: ビジュアル重視のSNSであるInstagramは、日本では若い女性に支持されてきました。日本の利用者属性は女性比率が高く、他SNSと比べても女性ユーザーの存在感が大きいです。これはInstagramがファッション・美容・ライフスタイルなどの分野で情報発信ツールとして女性層に浸透しているためです。一方、世界全体では男女差はそれほど大きくなく、日本ほど「女性のSNS」とは位置付けられていません。また世界では地域によってInstagram利用者の性別比が変化し、例えば中東では男性が大半を占める一方、北米では女性利用者が過半数といった差もあります。年齢層はいずれも若者中心ですが、日本では50代以上の利用率がやや低めなのに対し、世界全体では新興国を中心に若干年齢層が広い場合もあります。総じて、日本ではInstagramは若い女性のカルチャーに根付いたSNSであり、世界では性別を問わず若者に広く使われるSNSといった違いが見られます。
- Facebookの特徴: Facebookは日本と世界で位置付けが大きく異なるSNSです。世界的には今なおユーザー数最大級で、若年層から中高年まで利用される “デフォルト”のSNS 的存在ですが、日本ではビジネス用途や特定コミュニティ向けに限られ、若者の日常的な選択肢から外れている状況です。日本で10代・20代の利用率が低いのは、実名登録や公開範囲の感覚が日本の若者文化に合わなかったこと、代替となるSNS(LINEやX、Instagram等)が普及したことが背景にあります。また、日本ではFacebook利用者はやや男性が多くなっていますが、その差は世界平均と比べれば小さいものです(日本:男性約52%、世界:男性約57%)。むしろ日本では実名制ゆえにビジネスパーソン(男女問わず)に利用されやすい側面があり、世界のような男女差は顕著ではありません。総括すると、Facebookは日本では中高年・ビジネス層に限定的に使われ、世界では老若男女に幅広く使われているという大きな違いがあります。
以上のように、主要SNS5サービスについて、日本国内と世界全体での年齢層・性別のユーザー属性を比較しました。それぞれのSNSが持つユーザー層の違いは、各プラットフォームの特色や文化的受容の差を反映しています。マーケティングや情報発信の戦略を立てる際には、日本と世界におけるこうした属性の違いを踏まえて、適切なSNSを選択・活用することが重要と言えるでしょう。
参考文献・出典: 総務省「情報通信に関する現状報告」(令和4・5年)、DataReportal(2025年1月時点データ)、マイナビマーケティングラボ、その他各種調査より。各数値は出典元に基づく推計・調査値です。