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Vue.js 3の人気トレンド: Vue 2からの変化と他フレームワークとの比較

Vue.js 3は2020年にリリースされました。それ以降、Vueの支持(人気・利用動向)はどのように変化したのか、また他の競合フレームワーク(ReactやSvelteなど)との相対的な人気の推移について、GitHubやNPM、Google検索、Stack Overflowといった客観的な指標から分析します。調査期間は2020年から直近の2025年頃までです。以下では各種データを図表とともに示し、Vue 3登場後の動向をVue 2時代と比較しながら考察します。

目次

GitHubでのスター数とプロジェクト活動

GitHubスター数はフレームワークへの関心の大きさを示す一つの指標です。VueはVue 2時代から非常に多くのスターを集めており、Vue 3公開後もその傾向は続いています。2024年時点でReactのGitHubスター数が約230,000件であるのに対し、Vue(vuejs/vue リポジトリ)は約208,000件に上ります。これはReactに次ぐ規模で、Vueのコミュニティ支持が依然強力であることを示しています。また、新興のSvelteも近年スター数を急増させており、同時期で約6~7万件程度と推定されます(Angularは約8万件台)。

GitHub上のコミットやIssueの動きも活発さを維持しています。Vue 3リリース当初こそエcosystem全体の追随に時間がかかりましたが(後述するようにVue 3移行期に一時的な停滞が指摘されました)、現在ではVueコアや関連プロジェクト(NuxtやVuex等)への貢献も安定して推移しています。総じて、GitHub上でのVueの存在感はVue 3後も依然として大きく、Reactに次ぐコミュニティ規模を維持しています。

NPMダウンロード数の推移

NPMパッケージのダウンロード数は実開発での利用頻度を反映します。Vue.jsのNPMダウンロード数は2020年以降増加傾向にあり、Vue 3リリース後も着実に伸びています。その勢いは顕著で、週あたりのダウンロード数は2022年から2024年にかけて約2倍に増加しました。2024年時点の各フレームワークの週次ダウンロード数は以下の通りです:

  • React:約32.7百万回/週(圧倒的トップ)
  • Vue:約6.4百万回/週(2022年比でほぼ倍増
  • Angular:約3.9百万回/週
  • Svelte:約2.0百万回/週(Vueより少ないが急成長中

Reactが依然最大シェアですが、Vueは週ダウンロード数で2位の位置を確保し、継続的な上昇トレンドを示しています。特にVue 3リリース直後はVue 2との互換性問題などから移行が緩慢でしたが、2023年~2024年にかけて多くのプロジェクトがVue 3へ移行し利用が拡大したことがうかがえます。実際、2021年時点では「Vue 3の採用が遅い」と懸念する声もありましたが、その後公式ツールや主要ライブラリの対応が進み、2024年にはVueエコシステム全体の利用が大きく伸長したといえます。

なお、npm上の依存パッケージ数を見てもVueは着実に増加しています。例えばVueを依存に含むnpmパッケージ数は2019年頃約20,000でしたが、5年で約300%増加し2024年には80,000弱に達しています。これはReact(同期間で50k→240k以上)には及ばないものの、Angular(緩やかな伸びで+50%程度)よりははるかに大きな増加率です。これらもVue 3世代での利用が拡大している裏付けといえます。

Google検索ボリュームのトレンド

Google トレンドでフレームワーク名の検索ボリュームを比較すると、Vue.jsへの関心は2020年前後をピークにやや減退傾向が見られます。過去5年間の世界全体の検索指数によれば:

  • React: 常にトップで、VueやAngularを大きく上回る関心度。2020年以降も高い水準を維持し、Vueとの差を広げる傾向
  • Angular: Reactには及ばないものの依然として検索量は多く、Vueよりも高い関心度を示します。
  • Vue: 2020~2021年は関心度が安定して高めでしたが、2022年頃からモメンタムを失い検索量は緩やかに低下しました。2021年末にVue 3正式版リリースの影響で一時的な検索増加が見られたものの長続きはせず、その後は相対的にReactとの差が開いた形です。
  • Svelte: 検索量はまだVueよりかなり少ないですが、2020年以降上昇トレンドにあります(ただし全体から見ると依然小規模)。

要約すると現在(2024~2025年)の検索人気度は: Reactが突出, Angularが2番手, Vueは3番手, Svelteはさらに下位となっています。VueはSvelteより知名度が高いものの、Vue単独の検索ボリューム自体はここ数年ゆるやかに減少しており、Vue 2全盛期(2018~2019年頃)のピークと比べると熱量は落ち着いたといえます。これはVue 3への移行期の混乱や、Reactの継続的な人気、一部でのAngular利用の根強さなどが影響していると考えられます。

(参考までに、2023年末時点のGoogle検索指数では「React : Angular : Vue」の比率がおおよそ2.4 : 1 : 0.5となっており、VueはAngularの半分程度の検索量という報告もあります。)

Stack Overflowでの質問動向

Stack Overflow上のタグ別質問数は、開発者コミュニティでの話題性や問題発生頻度を示す指標です。累積の質問件数を見るとVueはReactなどより少ないものの、着実に増えてきました。2024年10月時点の総質問数は以下の通りです:

  • React (reactjsタグ):約481,000件の質問
  • Vue (vue.jsタグ):約108,000件の質問
  • Svelte (svelteタグ):約6,300件の質問

React関連の質問数が突出して多く、VueはReactの約1/5程度の規模ですが10万件超の質問が蓄積されており無視できない存在感です。Svelteはまだコミュニティ規模が小さく質問数も数千件規模に留まっています。

注目すべきは、その質問頻度のトレンドです。Vueタグの新規質問数は2020年頃をピークに減少傾向にあります。実際、月次の質問投稿数を見ると、Vueは2020年中頃から2023年にかけて約3年半にわたり滑り落ちるように減少し、特に2023年には年初からの1年で約47%も投稿数が減っています。これはVueに限らずReactやAngularも同様の傾向で、React質問も2023年に約50%減、Angularも42%減と大幅に下がりました。要因として、コミュニティの成熟により既存質問で自己解決できるケースが増えたことや、開発者が質問サイト以外(GitHub DiscussionsやDiscordなど)に移行していること、さらに2022年末以降はChatGPT等の登場で直接質問する需要自体が減ったことなどが考えられます。

このようにStack Overflow上ではVue関連の新規質問量はピークアウトしており、Vue 3移行期の一時停滞や他の要因で以前ほど話題に上らなくなったことがうかがえます。ただし総質問数自体は増え続けているため、コミュニティの絶対規模が縮小したわけではなく、むしろ情報蓄積が進んで質問しなくても解決できる環境が整ってきた側面もあります。

結論: Vue 3移行後の支持動向まとめ

以上の指標を総合すると、Vue.js 3リリース後にVueの支持が劇的に低下したとは言えません。実利用の面ではNPMダウンロード数やGitHubスター数が示すようにVue利用者は増加を続けており、Vueは依然としてReactに次ぐ人気フレームワークの地位を占めています。特に2022年以降はVue 3系への移行が進み、週次ダウンロード数など客観的な利用指標は成長しています。

一方で、相対的な注目度やコミュニティの勢いという点では以前より落ち着いた印象があります。Google検索トレンドやStack Overflowの質問動向を見ると、Vueは2020年前後のピーク熱量からはやや下降局面にあり、Reactが引き続き圧倒的人気を維持、また新興のSvelteが熱心な支持を集め始める中で、Vueの話題性は突出しなくなりました。Vue 3への大規模アップデートに伴う一時的なエコシステムの分断(Vue 2 vs Vue 3)も、2020~2021年頃の採用ペース減速に影響したと考えられます。しかしその過渡期を経て、現在ではVue 3も安定し利用者は増加基調に戻っています。

他フレームワークとの比較では、Reactは依然として圧倒的首位であり、Vue 3登場後もその地位は揺らいでいません。Angularは全体的なシェアではVueに後れを取っていますが、依然企業ユーザなどに根強く使われており検索関心ではVueを上回ります。Svelteは2020年以降「高い満足度を持つ新星」として注目され、成長率こそ高いものの、現時点の利用規模ではVueにはまだ及びません。Stack Overflow開発者調査でも2023年時点での利用率はVueが約18.8%でSvelteは4.6%と大きな差があります。ただしSvelteは「最も愛されている」フレームワークの一つであり(同調査でSvelte好感度75%はトップ、Vueは66%)、今後もコミュニティ拡大が期待されています。

総括すると、Vue.js 3の登場によってVueが支持を失ったというよりも、成長の仕方に変化があったと言えます。急激なブーム的拡大を見せたVue 2時代と比べ、Vue 3時代は緩やかな成熟期に入った印象で、利用者ベースは着実に増えつつも相対的な話題性は少し落ち着きました。しかしVueは依然としてフロントエンド界隈で第2位の主要フレームワークであり続けており、Reactとの2強構造は当面維持される見込みです。今後はVue 3世代で築いた基盤の上に、Reactや新興勢力とどう差別化してコミュニティを牽引していくかが注目されます。

参考資料: Vue/Nuxtチームが共同作成した「State of Vue.js 2025」レポートや各種調査データを基に分析しました。

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