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政治経済
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CIPSとSWIFT 第1回「CIPSとは何か?」
CIPS(クロスボーダー銀行間決済システム)とは、中国人民銀行が主導して設計・運用する国際決済インフラであり、正式名称は "Cross-Border Interbank Payment System"です。これは主に人民元建ての国際送金と決済に対応するために構築されたシステムであり、従来のグローバル金融インフラに依存しない、中国独自の決済ネットワークの中核を... -
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税収弾性値1.1の呪縛──財務省試算に突きつけられた疑義と国会での追及
参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=g2lTtjVYQTQ 問題の発端:過小な税収見積もりとその根拠 2024年度予算審議の過程において、日本維新の会・柳ヶ瀬裕文参議院議員による財務省への追及が注目を集めている。議論の核心にあるのは、「税収弾性値1.1」という数値の妥当性である。 税収弾性値とは、名目GDPが1%成長した際に税収が何%増... -
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CIPSとSWIFT 第2回「SWIFTという支配網」
国際送金の中枢を担ってきたSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)は、現代のグローバル経済において不可欠な存在です。SWIFTは1973年にベルギーに設立され、現在では200以上の国と1万1,000以上の金融機関が参加する世界最大の金融通信ネットワークとなっています。その役割は、銀行間の送金情報、すなわち... -
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CIPSとSWIFT 第3回「決済インフラで見る世界の陣営」
国際送金や貿易決済の仕組みは、単なる金融技術ではありません。そこには国家間の信頼、政治的な立場、通貨の影響力といった地政学的な要素が色濃く反映されています。前回までに紹介したSWIFT、CIPS、SPFSのような決済ネットワークは、それぞれが単なるインフラを超えて、国家の陣営、外交姿勢、経済戦略を体現するものとなっています。本稿... -
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金本位制とブレトン・ウッズ協定とは何だったのか
金本位制の起源と仕組み 金本位制とは、通貨の価値が一定量の金と交換できることを保証する制度です。たとえば、1ドルが0.05オンスの金と交換できると定められていれば、ドル紙幣の価値はその金に裏打ちされたものとなります。これは、通貨の信用を国家の保証ではなく、金という普遍的な価値のある資源に基づかせる仕組みです。 この制度は19... -
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CIPSとSWIFT 第4回「決済インフラが繋がっていない国同士の貿易はどう成り立つのか」
国際貿易においては、通常、送金や信用状などの決済手段がスムーズに行われることが前提となっています。しかし、現実には金融制裁や地政学的対立などの理由で、国際的な決済ネットワークにアクセスできない、あるいはアクセスを遮断された国が存在します。代表的なのがイランや北朝鮮、そしてSWIFTから部分排除されたロシアなどです。では、... -
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ドル本位体制の成立と現代の信用構造
金の代わりに“信用”が裏付けとなったドル 1971年のニクソン・ショックによって、アメリカは金とドルの交換義務を放棄しました。これにより、世界の通貨制度は金という物理的な裏付けを完全に失い、いわば“信用本位制”へと突入しました。以後、ドルの価値は「アメリカという国家への信頼」と「アメリカ経済の力」によって支えられることになり... -
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イシバノミクス「3本の矢」— 新時代の商品券経済戦略
日本経済は、今まさに重大な岐路に立たされています。長引く低成長、社会保障の逼迫、財政赤字の拡大——これらの課題に対し、歴代政権は数々の経済政策を打ち出してきました。しかし、いずれも決定的な解決策とはならず、日本は長年「失われた時代」から抜け出せずにいます。 そこで、本記事ではこれまでの経済政策の常識を覆し、「政治家への... -
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卵の値段が変わらない奇跡と、口座の残高が同じでも減っているかもしれない不安
私たちは日々、スーパーで買い物をします。卵や牛乳、パンなど、いつもの商品がいつもの場所に、いつもの価格で並んでいます。昨日買った卵が、今日も同じ値段で売られている。 この「当たり前」がどれほどすごいことか、ふだんはあまり意識されることはありません。 卵の価格が変わらないという奇跡 スーパーに行くと、卵の値段はたいてい昨... -
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不況下の物価高騰:スタグフレーションという「最悪の組み合わせ」を生き抜く
経済観を揺るがす「悪魔の経済現象」 あなたが長年のデフレ経済しか経験してこなかった世代であるなら、現在の日本の経済状況は、これまでの経済感覚と根本的に矛盾しているように感じられるだろう。それは、経済学において最も困難で厄介な事態とされるスタグフレーション(Stagflation)が、日本の足元で静かに進行しているからに他ならな...