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日本の衰退に対する失望:100年のサイクルの中で生まれた世代として

日本が今、衰退のサイクルに入っていることを否定するのは難しい。経済的な指標だけでなく、人々の精神性や価値観に表れる変化を見れば、それは明らかだ。私はこの現実に深く失望している。


1. 30年前と現在の違い:なぜ日本は選ばれるのか

30年前、日本人はこぞって海外へ旅行に出かけ、外国は憧れの対象だった。一方で、日本を訪れる外国人は今ほど多くはなかった。では、当時の日本が「魅力がなかった」わけではない。むしろ、日本人にとって海外が魅力的だったのは、日本人の購買力が高く、海外が相対的に安かったからだ。

現在、立場は逆転した。日本は「安い国」として選ばれ、外国人観光客が押し寄せている。しかし、これは決して「日本が魅力的になった」わけではない。単に安くなっただけなのだ。もし、日本の経済力が今も強ければ、30年前と同様に、日本人は海外へ行き、外国人観光客はそこまで増えなかっただろう。

円安は、日本円が求められていないことを示している。つまり、日本のモノやサービスが売れなくなっているということだ。為替レートは短期的には投機や金融政策の影響を受けるが、長期的にはその国の経済力と密接に関係している。国力と通貨の価値は無関係ではない。


2. 「貧すれば鈍する」— 精神的な余裕の喪失

衰退は、経済だけでなく、人々の精神性にも影響を与える。

最近、宿泊税に関する議論を見て感じたことがある。「外国人観光客からもっと金を取れ」「日本人は払うべきではない」 という声が大きくなっているが、これは本質的に何を意味するのか?

・経済的に余裕があれば、観光客を「歓迎」する発想になる。 ・しかし、余裕がないと「利用する」「搾取する」発想になる。

かつての日本は、海外の文化や技術を貪欲に学び、発展の糧にしてきた。しかし、今はどうだろうか。外国人を「歓迎」するのではなく、「金を取る対象」として見ている。この思考の変化こそが、「貧すれば鈍する」の典型例ではないか。

また、「日本は安全で素晴らしい国だから観光客が来る」と言う人がいるが、それは事実の一部でしかない。現在の訪日観光ブームは、単に「円安で安いから」に過ぎない。それを認めず、「日本が魅力的だから選ばれている」と誤認するのは、冷静な自己分析を欠いていると言わざるを得ない。


3. 100年のサイクルの中での日本

歴史的に見ても、国家には興隆と衰退のサイクルがある。現在の日本は、その衰退のフェーズに入っているのは明らかだ。

  • 経済成長の鈍化
  • 技術競争力の低下
  • 若年層の未来への期待の欠如
  • 短期的な利益に固執し、長期的な視野を持たない政策

これは、かつての大英帝国やローマ帝国が衰退していく過程と似ている。特に、「過去の栄光にすがり、変革を拒む」姿勢が、日本の未来にとって致命的な足枷になっている。

私は、この時代に生まれたことを不運だと感じる。もし、数十年前に生まれていたら、日本の成長期を享受できたかもしれない。しかし、今の日本は、衰退をどうやって遅らせるかを議論する段階に入ってしまっている。


4. では、絶望するしかないのか?

日本という「国」としての成長は、今後難しいかもしれない。しかし、個人レベルではまだ選択肢は残されている。

  • 国に依存しない生き方を模索する
  • グローバルな視点を持ち、外の世界に目を向ける
  • 日本の衰退に飲み込まれず、個人としての道を切り開く

国家のサイクルは、個人の人生のスパンとは異なる。衰退の時代に生まれたとしても、その中で適応し、活路を見出すことはできる。

私は、今の日本の状況に失望している。しかし、それでも、個人としてできることを模索し続けるしかない。

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