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メソポタミア文明における都市国家と王国の歴史

目次

1. メソポタミア文明の概要

メソポタミア文明は、ティグリス川とユーフラテス川に挟まれた地域(現在のイラク周辺)で発展した世界最古級の文明である。紀元前3000年頃から都市国家が形成され、次第に王国へと発展していった。

GoogleEarthより

2. 都市国家の時代(紀元前3000年頃~紀元前2350年頃)

シュメール都市国家(ウル、ウルク、ラガシュ、ニップルなど)がメソポタミア南部に誕生。

  • ウルク(紀元前3500年頃~)
    • 最も古い都市国家の一つで、伝説的な王ギルガメシュが支配。
    • くさび形文字の発明。
  • ウル
    • シュメール文化の中心地。
    • 「ウルのジッグラト」などの巨大建築。
  • ラガシュ
    • 神権政治が発展。
    • 都市国家間の戦争が頻発。
  • 都市国家はそれぞれ独立していたが、宗教や文化を共有していた。

3. アッカド帝国(紀元前2334年頃~紀元前2150年頃)

  • サルゴン王がシュメール都市国家を統一し、史上初の帝国を築く。
  • セム語系の支配が始まり、シュメール語は徐々に衰退。
  • 中央集権的な統治の基盤を確立。
  • 経済・貿易の発展(遠方のインダス文明とも交易)。
  • 帝国は内乱と異民族の侵入(グティ人)により崩壊。

4. ウル第三王朝(紀元前2112年頃~紀元前2004年頃)

  • アッカド帝国の崩壊後、シュメール人が再び勢力を盛り返す。
  • ウル・ナンム王が「ウル第三王朝」を築き、最初の成文法(ウル・ナンム法典)を制定。
  • しかし、アムル人やエラム人の侵攻により滅亡。

5. 古バビロニア王国(紀元前1894年頃~紀元前1595年頃)

  • アムル人がメソポタミアを支配し、バビロンを中心とする王国を築く。
  • ハンムラビ王(紀元前1792年~1750年頃)
    • バビロニアを統一し、ハンムラビ法典を制定。
    • 「目には目を、歯には歯を」の原則。
    • 農業、治水、商業の発展。
  • 紀元前1595年、ヒッタイト人の侵攻で滅亡。

6. カッシート王朝(紀元前1595年頃~紀元前1155年頃)

  • インド・イラン系のカッシート人がバビロンを支配。
  • 約400年間安定した統治を行い、バビロンの宗教的権威を確立。
  • しかし、エラム人やアッシリアの圧力で滅亡。

7. アッシリア帝国(紀元前1360年頃~紀元前612年頃)

  • 北メソポタミアを拠点とするアッシリアが台頭。
  • 中アッシリア時代
  • 新アッシリア帝国(紀元前911年~612年)
    • 強力な軍事国家。
    • サルゴン2世、アッシュールバニパル王の統治。
    • 大図書館(ニネヴェ)が築かれる。
    • しかし、紀元前612年に新バビロニア(カルデア)とメディアの連合軍により滅亡。

8. 新バビロニア王国(紀元前626年~539年)

  • カルデア人がアッシリアを滅ぼし、バビロンを再興。
  • ネブカドネザル2世(紀元前605年~562年)
    • バビロンの「空中庭園」を築く。
    • ユダ王国を滅ぼし、バビロン捕囚を実施。
  • 紀元前539年、アケメネス朝ペルシア(キュロス2世)により征服され、メソポタミアの独立王国時代が終焉。

9. まとめ

メソポタミアの都市国家や王国は、都市ごとに独立していた時代から、次第に統一国家・帝国へと発展し、異民族による支配を繰り返した

  • シュメール都市国家アッカド帝国ウル第三王朝古バビロニア王国カッシート王朝アッシリア帝国新バビロニア王国
  • 最終的にはアケメネス朝ペルシアに吸収され、メソポタミア独自の王国は消滅。

都市国家から始まり、大帝国へと発展するが、最終的にはより大きな帝国の一部となる運命を辿った。

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