AIや自然言語処理(NLP)の分野でよく出てくる「トークン」とは何か、初心者にもわかりやすく解説します。
1. トークンとは?
トークン(Token) とは、AIや自然言語処理の中で文章を扱う際に、文章を小さな単位に分割したものです。この「小さな単位」とは、単語、句、文字、または特定の意味を持つまとまり(例えば「New York」などのフレーズ)を指します。AIモデルは、文章全体を一気に処理するのではなく、まずはトークンに分解してからそれを理解しようとします。
例を見てみましょう:
- 元の文章:「今日は天気が良いですね」
- トークンに分解すると:「今日」「は」「天気」「が」「良い」「ですね」
このように、文をいくつかの小さなトークンに分けてから処理することで、AIがその文を理解しやすくなります。
2. トークンの使われ方
トークンはAIモデルが言語を扱う際に重要な役割を果たします。大規模な言語モデル(例えば、GPTやBERT)は、文章をトークンに分け、それらを順番に処理して次の言葉や文章を予測したり、テキスト生成を行います。
具体的には、以下のような流れで使われます:
- トークン化(Tokenization)
文章やテキストをトークンに分割するプロセスのことです。この段階では、文の構造や言語のルールを考慮しながら、AIが理解しやすい形に分解します。 - トークンをベクトルに変換
トークンに分割された後、それらは数値のベクトル(数値の集まり)に変換されます。このベクトルがAIモデルに入力され、処理が始まります。AIはこの数値の形でトークンを理解し、学習したパターンを使って次のトークンを予測したり、質問に答えたりします。 - トークンの処理と出力
AIがトークンを処理し、それに基づいて文章を生成したり、質問に答えたりします。たとえば、質問「天気はどうですか?」に対して、AIは「天気」というトークンを理解し、「良い」や「悪い」などの適切な返答を予測します。
3. トークンの具体例
以下に、異なる文章をトークンに分解した例を示します。
- 例 1: 日本語の文章
- 元の文章:「猫が好きです」
- トークン化後:「猫」「が」「好き」「です」
- 例 2: 英語の文章
- 元の文章:「I love programming.」
- トークン化後:「I」「love」「programming」「.」
文章をトークンに分ける方法は言語ごとに異なりますが、基本的には文法や構造に従って小さな単位に分割されます。
4. トークンと単語の違い
「トークン」と「単語」は似た意味に思えますが、実際には少し違います。トークンは、必ずしも単語そのものを指すわけではなく、文の中の最小の意味単位であることが多いです。たとえば、英語の文章「I’m going to the store.」では、「I’m」は「I」と「'm」に分割されることがあります。つまり、トークンは単語の一部にもなるのです。
5. トークンの重要性
トークンは、AIが文章を理解するための基本的な単位です。AIモデルは、膨大な数のトークンを使って学習し、それを基に文章を生成したり、質問に答えたりします。トークン化の正確さがAIの性能に直接影響を与えるため、トークン化のプロセスは非常に重要です。
また、トークン数は計算コストにも影響します。AIモデルは、より多くのトークンを処理するために多くの計算資源を必要とします。そのため、短い文章やトークン化が効率的に行われた文章の方が、AIにとって処理しやすくなります。
6. まとめ
トークンとは、文章をAIが理解しやすい形に分解した最小単位のことです。トークン化は、AIが文章を理解し、次の言葉や文を予測するための基本的なステップです。このプロセスがあることで、AIは自然言語を効率的に処理し、私たちが行う質問やリクエストに対して適切な応答を生成できます。トークン化の技術は、AIが私たちの言葉を理解する上で不可欠な要素です。