tama– Author –
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Emacs
第3回 Python補完の実践 ― Emacsに頭脳を宿す
ここまでで、LSPとは何か、そしてEmacsがそれをどう扱うかを理解した。 最終回では、実際にPython補完を動かすための構築手順を示す。目的は単純だ。「なんとなく動いた」ではなく、「なぜそうなるか」を理解したうえで、確信をもって環境を作ることである。Emacsは設定が複雑なようでいて、理屈が分かれば極めて論理的な道具である。 Python... -
Emacs
第2回 EmacsがLSPを話す ― クライアントの世界
前回、LSP(Language Server Protocol)とは何かを整理した。 今回は、EmacsがそのLSPをどう扱うかを掘り下げる。EmacsはLSPを直接理解しているわけではなく、クライアントとしてLSPサーバと通信する層を持っている。その中核となるのが lsp-mode と eglot という二つの実装である。両者は同じLSPをしゃべるが、思想と構造が根本的に異なる。... -
Emacs
第1回 EmacsでPython補完を考える前に ― LSPとは何か
EmacsでPythonを書くとき、最初にぶつかる壁が「補完」である。関数名や変数名を自動で提示してくれる機能だが、Emacsにおける補完の仕組みは複雑である。単に候補を出すだけではなく、背後に構文解析や通信プロトコルが存在する。本稿では、設定やプラグインの話をする前に、その背後にある「LSP(Language Server Protocol)」という概念を... -
技術雑記
プライバシーサンドボックスの帰結――知らぬふりをした支配の構造
参考記事:Google、「プライバシーサンドボックス」を実質終了 関連技術のほとんどを廃止へ - ITmedia NEWS 2019年、Googleは「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」という壮大な理想を掲げた。“ユーザーのプライバシーを保護しながら広告を最適化する”――そう聞こえはいい。しかし、現実は単純だ。「データの独占構造を再設計す... -
技術雑記
Windows 11のために新しいPCを買うことはサステナブルではない
いまやどの企業も「環境にやさしい」と唱えている。パッケージは再生紙、筐体はリサイクルアルミ、製造過程ではカーボンオフセット。しかし、その一方でユーザーには「旧製品はサポート終了」「最新モデルへ移行を」と迫る。この二枚舌が、現代のテクノロジー資本主義を象徴している。 環境を守るふりをして、実際には消費を維持するための環... -
技術雑記
コンピューティングと文明の転倒――進歩が退化を生む時代
Sandy Bridge。2011年に登場したこの名を覚えている人は、今や少数派かもしれない。だがそれは、ひとつの節目であった。コンピューティングの世界で「人間が必要とする性能」と「企業が供給し続ける性能」が決定的に乖離した瞬間である。あの頃のCPUを積んだパソコンはいまだ現役であり、ウェブもオフィスも動画編集も問題なくこなす。むしろ... -
技術雑記
永遠の食洗機とアルゴリズムの愚かさについて
無限の選択肢と、欠落する「欲しいもの」 いま、あらゆるコンテンツが指先一つで手に入る。YouTube、Netflix、Spotify、どれを開いても、無数の動画や音楽が流れ込んでくる。だが不思議なことに、この豊穣な世界で人はしばしば「欲しいものがない」と感じる。それは単なる贅沢でも気まぐれでもない。むしろ、供給が極まったがゆえの欠乏であ... -
日本の政治
クマ一頭を制御できぬ国に、安全保障を語る資格はあるのか
十月十七日夜、仙台市青葉区――JR仙台駅からわずか三キロの広瀬川河川敷で、親子とみられるクマ五頭が目撃された。体長一メートル級が二頭、七十センチ級が三頭。警察は急行したが、姿は消えた。この一報は単なる珍事ではない。東北最大の都市、政令市・仙台の中心圏に野生のクマが現れたという事実そのものが、社会の“想定外”を突き崩した... -
雑記
正しさのワクチンを打てない社会で
社会が発熱している いまの社会は、どこを見ても「正しさ」に熱を上げている。犬の狂犬病ワクチンをめぐる議論ひとつ取ってもそうだ。年四千円の接種費を払わずに犬を飼っている者がいると聞けば、即座に「資格がない」「法律違反だ」「無知は罪だ」と糾弾の声が飛ぶ。しかし冷静に考えれば、年四千円という額は、飼い犬の餌代にも及ばぬ。払... -
WordPress
WordPressで特定記事の最終更新日を表示するショートコードを作る
WordPressで「特定の記事の最終更新日」をトップページや固定ページに表示したい場面は多い。しかしテンプレートファイルを直接編集するのは手間がかかるうえ、テーマアップデートで上書きされる危険もある。この問題は、ショートコードを自作してfunctions.phpに登録することで簡潔に解決できる。 環境と前提 本稿の内容はWordPress 6.x系を...