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技術雑記
雲の中に消える責任──ガバメントクラウドという現代日本の鏡
日本の「ガバメントクラウド」は、表向きには行政の効率化を掲げる。デジタル庁が旗を振り、AWSやAzureといった外資クラウドが並ぶ。だが、その設計思想を覗けば、単なる技術選定ではなく、国家の主権構造そのものが露出している。行政データを国外企業のクラウドに預けるとは、技術的合理性では説明しきれない決断である。セキュリティ要件... -
技術雑記
パンを食べるのに許可がいる――ソフトウェアが失った「自由」
2025年、GoogleはAndroidアプリ開発者に対して「開発者認証制度」を導入すると発表した。表向きはセキュリティ強化策であり、マルウェア対策を目的とする。だが実際の仕組みを見れば、これはサイドローディング文化の終焉を告げる宣告である。 F-Droidのような自由なアプリ配布サイトは、開発者登録を強制されればその存在理由を失う。なぜな... -
AI
Ryzen AI Max+395は「虎の子AIサーバ」になり得るか
世の中、GPUを積んだサーバが高嶺の花になって久しい。そんな中で、ひっそりと注目を集めているのがAMDの「Ryzen AI Max+395」である。128GBのRAMを詰めたミニPCが30万円前後。見た目は小柄だが、カタログスペックを覗けば猛虎のような眼光を放つ。果たして、これはAIサーバの“代打”として立つ器なのか。それとも、まだ調整中の若虎なのか。... -
AI
RAGの最低限の型 ― 記事をぶち込むだけでは動かない理由
Retrieval-Augmented Generation(RAG)は、手持ちのドキュメントを検索し、その内容をもとにAIが回答を組み立てる仕組みである。理屈は単純だが、実際に自前データを突っ込んで動かすと、ほとんどの人が同じ壁にぶつかる。つまり、「記事をそのまま入れてもうまく動かない」という壁である。本稿では、その原因と、最低限必要な構造化の型を... -
Mac
macOS launchctl の bootstrap と bootout コマンドの使い方
macOS では、バックグラウンドで動作するサービス(デーモンやエージェント)を管理するために launchd という仕組みが用いられており、これを制御するコマンドが launchctl である。従来は load と unload というサブコマンドが使われていたが、macOS 10.11 El Capitan 以降、これらは「レガシーサブコマンド」として扱われ、代わりに boots... -
技術雑記
Yahooの亡霊と成り果てた王者Google
「我々は権威主義を打破した」と彼らは胸を張る。PageRankアルゴリズムを携え、Yahoo!のディレクトリ検索を時代遅れの産物として葬り去った。「人間が選ぶ時代は終わった。機械が民主的に判断する時代の始まりだ」。 そして彼らは勝利した。圧倒的に。 しかし、勝利の頂点で何をしているのか。 E-A-T(専門性・権威性・信頼性)。YMYL(Your ... -
技術雑記
AIサブスク200ドルの自己欺瞞 ~現代のピラミッド建設者たち~
狂気が始まった。月額200ドルという狂気が。 エンジニアたちが我先にとサブスクリプションに課金している。まるで投資だと言いながら、年間36万円を注ぎ込む。AIを使いこなさなければ時代に取り残される、という恐怖に駆られて。 しかし、問いかけよう。それで収入は増えたのか? 確かな支出が増えた人は無数にいる。しかし、それで稼げるよ... -
技術雑記
情報の墓場で踊るAI ~シン・いかがでしたかブログの誕生~
革命が起きた。しかし、それは救済ではなく呪いだった。 2010年代、検索結果はコンテンツファームのゴミで溢れた。「調べてみたけどわかりませんでした!いかがでしたか?」という絶望的な締めくくりと共に、人類の知的探求は嘲笑われた。ネットは巨大なゴミ捨て場と化し、真実は瓦礫の下に埋もれた。 そして2020年代、AIという救世主が現れ... -
技術雑記
ポエムという名の救済 :エンジニアの無自覚な欺瞞と救済
「多様性を尊重しよう」と彼らは言う。Slackのステータスには虹色の絵文字を飾り、会議では包摂的な言葉を選ぶ。ダイバーシティ&インクルージョンの研修を受け、アンコンシャス・バイアスについて語る。 そして同時に、彼らは「ポエム」を軽蔑する。 「これはポエムなので...」「またポエム記事か」「実装がないからポエムですね」。彼らの... -
技術雑記
C2PAに跪く黄昏のエンジニアたち ~虚構の砦を築く者たちへの挽歌~
終末の鐘が鳴っている。しかし技術者たちは聞こえないふりをしている。 C2PAという新たな愚行が始まろうとしている。シリコンバレーの帝王たちが、またしても無用の長物を世界に押し付けようと画策している。AIの使用を証明する電子的な鎖を、コンテンツという名の囚人に巻き付けようというのだ。 これは現代のバベルの塔である。技術という...