政治– category –
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日本の政治
SNS時代の「正義」が見落とす力関係の機微
象と蟻を同じ檻で戦わせる愚 現代のSNSは奇妙な闘技場である。そこでは巨象のような大企業と、蟻のような零細事業者が同じリングに立たされ、観客席からは容赦ない批判の矢が飛んでくる。しかし、多くの批判者は重要なことを見落としている。象には蟻を踏み潰す矢は刺さらないが、蟻には致命傷となることを。 私たちは日常生活では自然とこの... -
政治体制
イデオロギー・ショッピングの時代:効果的利己主義者たちの看板付け替え術
現代社会を席巻する「なんとかイズム」の正体を見抜く時が来た。テックリバタリアニズム、効果的利他主義、そして各種の選択的多様性論——これらはすべて同じ構造を持つ偽装工作である。 テックリバタリアンという名の矛盾した生き物 テックリバタリアンと呼ばれる人々の主張を聞いていると、あまりの論理的矛盾に頭痛がしてくる。彼らは政府... -
日本の政治
「辞めるな石破!」デモが映し出す日本政治の深刻な病理
「石破辞めるな! 石破負けるな! 石破粘れ! 民主主義を守れ!」…“激励デモ”を現場直撃 デモ参加者が自民党支持者では「ない」理由とは? | 政治 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ 野党支持者が与党総裁を応援する異常事態 7月25日、総理官邸前で奇妙な光景が繰り広げられた。200人近くの人々が「石破辞めるな!」「石破負けるな!」「民主主義... -
政治体制
エッチなゲームから始まる自由の終わり——クレジットカード会社による新たな検閲の脅威
参考:SteamとItch.ioに圧力をかけてアダルトゲーム規制を強行したクレジットカード会社に対してゲーマーから抗議の電話やメールが殺到 - GIGAZINE 静かに進む表現統制の実験 2025年7月、SteamとItch.ioから突如として大量のアダルトゲームが削除された出来事を、単なる「エロゲー規制」として片付けてはいけません。これは私たちの自由社会... -
日本の政治
自由主義と平等主義の違い – なぜ「正義」は暴力に転化するのか
先日、SNSで目にした言説に背筋が凍った。ある政党について「一度でも支持を表明した者は、その責任を死ぬまで追及されるべきだ」「沈黙は支持と同じであり、明確に非難しない者も同罪だ」といった主張を目にすることが増えている。 この論理に従えば、積極的にその政党を批判しない限り、すべての人が「永続的な非難」の対象になってしまう... -
日本の政治
「日本人ファースト」が支持される背景
参政党が掲げる「日本人ファースト」というスローガンが、現在の日本政治において一定の支持を集めている。2025年の参議院選挙において、同党は急速な支持拡大を見せ、各種世論調査でも存在感を増している。選挙ドットコムの調査によれば、この政党への支持は電話調査とネット調査で拮抗し、むしろ電話調査での支持が高いという結果も出てい... -
日本の政治
チームみらいと参政党:表面的対立の裏にある構造的類似性
この記事では、一見対極に位置するように見える二つの政治勢力について、やや異なる視点から考察してみたい。多くの人にとって同意し難い見方かもしれないが、現代政治を理解する上で一考の価値があると思われる。 「分断を煽らない」と「日本人ファースト」の本質的類似性 表面的な違いを超えて チームみらいの「分断を煽らない」と参政党の... -
地政学
「国家」とは誰が決めるのか:チェチェンと国際承認の現実
国家としての要件とチェチェンの実態 国家とは何か――この問いに明確な答えを与えるのは難しい。しかし国際関係においては、一定の基準が存在する。1933年のモンテビデオ条約では、国家の要件として①恒常的な住民、②明確な領域、③政府、④他国との関係を結ぶ能力、の4点が示されている。 チェチェン共和国は、これらの一部を形式上は満たしてい... -
地政学
どうしても譲れない土地:ロシアにとってのチェチェンの地政学的意義
地理的要衝としてのチェチェン チェチェン共和国がロシアにとって重要である理由は、単なる歴史的経緯や政治的象徴にとどまらない。むしろ、その地理的な位置こそが、ロシアがこの地を決して手放そうとしない最大の理由のひとつである。 チェチェンは、カフカス山脈の北側、黒海とカスピ海を結ぶ回廊の中ほどに位置し、ロシア南部と南カフカ... -
地政学
名を保ち続ける意味:共和国を名乗ることの政治的価値
国家の形が残ることの意義 チェチェン共和国が「共和国」という名称を維持し続けていることには、象徴的な意味が込められている。国旗、首長、独自の憲法といった形式的要素は、国際的には独立国家と同じような外見を持つ。だがその実態はロシア連邦内の自治共和国という位置づけに過ぎず、主権国家とは明確に区別される。 それでもなお「共...