政治– category –
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経済
CIPSとSWIFT 第5回「暗号資産と国家の通貨主権」
ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は、技術革新の象徴として登場した一方で、国家にとっては通貨主権を揺るがす存在として警戒されています。これまでの連載で触れてきたように、国家は通貨の発行、管理、監視を通じて経済を統制してきました。しかし、暗号資産の登場は、こうした従来の金融秩序に対して根本的な挑戦を突きつ... -
経済
CIPSとSWIFT 第4回「決済インフラが繋がっていない国同士の貿易はどう成り立つのか」
国際貿易においては、通常、送金や信用状などの決済手段がスムーズに行われることが前提となっています。しかし、現実には金融制裁や地政学的対立などの理由で、国際的な決済ネットワークにアクセスできない、あるいはアクセスを遮断された国が存在します。代表的なのがイランや北朝鮮、そしてSWIFTから部分排除されたロシアなどです。では、... -
経済
CIPSとSWIFT 第3回「決済インフラで見る世界の陣営」
国際送金や貿易決済の仕組みは、単なる金融技術ではありません。そこには国家間の信頼、政治的な立場、通貨の影響力といった地政学的な要素が色濃く反映されています。前回までに紹介したSWIFT、CIPS、SPFSのような決済ネットワークは、それぞれが単なるインフラを超えて、国家の陣営、外交姿勢、経済戦略を体現するものとなっています。本稿... -
経済
CIPSとSWIFT 第2回「SWIFTという支配網」
国際送金の中枢を担ってきたSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)は、現代のグローバル経済において不可欠な存在です。SWIFTは1973年にベルギーに設立され、現在では200以上の国と1万1,000以上の金融機関が参加する世界最大の金融通信ネットワークとなっています。その役割は、銀行間の送金情報、すなわち... -
経済
CIPSとSWIFT 第1回「CIPSとは何か?」
CIPS(クロスボーダー銀行間決済システム)とは、中国人民銀行が主導して設計・運用する国際決済インフラであり、正式名称は "Cross-Border Interbank Payment System"です。これは主に人民元建ての国際送金と決済に対応するために構築されたシステムであり、従来のグローバル金融インフラに依存しない、中国独自の決済ネットワークの中核を... -
地政学
CFAフランとは何か?フランスとアフリカの切れない通貨の鎖
アフリカに残る「フランスの影」 CFAフラン(Communauté Financière Africaine フラン)は、アフリカの旧フランス植民地で現在も使われている共通通貨である。通貨としての成立は1945年、第二次世界大戦後の混乱期にフランスが自国の植民地経済を安定させる目的で導入した。独立した国家が通貨を共有する構想は一見合理的に見えるが、この仕... -
経済
卵の値段が変わらない奇跡と、口座の残高が同じでも減っているかもしれない不安
私たちは日々、スーパーで買い物をします。卵や牛乳、パンなど、いつもの商品がいつもの場所に、いつもの価格で並んでいます。昨日買った卵が、今日も同じ値段で売られている。 この「当たり前」がどれほどすごいことか、ふだんはあまり意識されることはありません。 卵の価格が変わらないという奇跡 スーパーに行くと、卵の値段はたいてい昨... -
経済
税収弾性値1.1の呪縛──財務省試算に突きつけられた疑義と国会での追及
参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=g2lTtjVYQTQ 問題の発端:過小な税収見積もりとその根拠 2024年度予算審議の過程において、日本維新の会・柳ヶ瀬裕文参議院議員による財務省への追及が注目を集めている。議論の核心にあるのは、「税収弾性値1.1」という数値の妥当性である。 税収弾性値とは、名目GDPが1%成長した際に税収が何%増... -
政治
米を減らし続けたら、米が足りなくなった──「消えたコメ」令和の米騒動に思う
参考:やっぱり「消えたコメ」はありませんでした…「コメはある」と言い続けた農水省の姑息すぎる"手のひら返し" だから備蓄米を放出しても価格は上がり続ける | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 2024年から2025年にかけて、米価が異常な高騰を見せています。商品や地域によって差はあるものの、店頭では5kgで4000円を超える価格が当... -
経済
政治家トリクルダウン:政治家が豊かになれば、国も豊かになる
この記事で取り上げられた「政治家が豊かになれば、国も豊かになる」という風刺的な表現は、一見すると荒唐無稽な皮肉ですが、実際の政治におけるある考え方を浮き彫りにしています。これは、政治家や富裕層が潤えばその恩恵が国民全体に及ぶというトリクルダウン的な発想の揶揄と言えます。以下では、この風刺表現が現実の政治家の言動・政...