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Debian 系 Linux で Dropbox をアンインストールする手順の備忘録

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本記事の前提と目的

Debian 系 Linux 環境に Dropbox を導入したあと、使用用途がなくなり削除したい状況は珍しくない。とくに Linux 版 Dropbox は GUI パッケージと自動ダウンロードされたユーザーディレクトリ側の実体が混在しており、どのファイルを消せば完全に片付くのか迷いやすい。本記事では、apt パッケージとしての Dropbox と ~/.dropbox-dist に展開された実体の両方を整理し、確実にアンインストールする方法を記録する。対象環境は以下である。

  • Debian / Ubuntu / Linux Mint などの APT 系ディストリビューション
  • ターミナル操作を前提とする
  • Dropbox のインストール方法を特定しきれなくても対応可能な手順を採用する

環境差異によって Dropbox の配置が異なることはあるが、この記事の内容を踏めばユーザーレベルでもシステムレベルでも残存ファイルを整理できるようにしてある。

プロセスを停止してアンインストールの下準備をする

Dropbox を削除するとき、まず実行中のプロセスを止める必要がある。ソフトウェアのアンインストールは、走行中の列車を安全に空駅へ入れる行為のようなものだ。動いたままではどんな手順も正しく作用しない。

実際の操作は極めて単純で、Dropbox が提供する CLI を使う。

dropbox stop

この段階でプロセスが完全に停止し、ディレクトリ削除やパッケージ削除が安全に進められる。もし dropbox コマンドが見つからない場合でも問題はなく、プロセスが存在しないかすでに停止している状態であるため、このまま次へ進める。

APT パッケージとしての Dropbox を削除する

Debian 系 Linux におけるソフトウェア削除の中心はパッケージ管理である。他の方法でインストールした場合も想定されるが、まずは APT 管理下に Dropbox が存在するかどうか確実に確認して削除することが重要である。

APT 経由でインストールされている場合は次のコマンドで完全削除できる。

sudo apt purge dropbox
sudo apt autoremove

purge を使う理由は設定ファイルごと削除するためであり、復元の必要がない今回の用途では最も合理的である。そして autoremove によって Dropbox が依存していたパッケージが不要であれば自動的に取り除かれ、環境がよりクリーンになる。

もし dropbox パッケージが存在しない場合はエラーが返るが、その場合はパッケージ管理下に Dropbox がないだけなので、そのまま次の手順に進めばよい。エラーは無視して構わない。

~/.dropbox-dist と設定ディレクトリを削除して実体を片付ける

Linux 版 Dropbox のもっとも特徴的な点は、実体がユーザーディレクトリ配下に自動ダウンロードされることにある。これが削除漏れを引き起こす最大の理由である。APT パッケージを削除しても、実際のバイナリは ~/.dropbox-dist に残り続け、ひっそりとスペースを占拠し続ける。

不要になった Dropbox の本体を削除するには以下を実行する。

rm -rf ~/.dropbox-dist
rm -rf ~/.dropbox

~/.dropbox-dist は Dropbox の実行ファイル群、~/.dropbox は設定ファイルの集合である。これらを削除することで、実体と環境設定の両方が完全に取り除かれる。Linux デスクトップ環境の「影の居候」が消える瞬間である。

古い環境で残る可能性のある自動起動スクリプトの整理

Dropbox はかつて init スクリプトや自動起動用のファイルを配置していた時期があり、古い環境では /etc/init.d/dropbox が残っているケースがある。この存在はまるで役目を終えたトランジスターラジオが棚の奥に置かれ続けるようなもので、害はないが散らかりの原因となる。

削除は次の一行で足りる。

sudo rm -f /etc/init.d/dropbox

ファイルが存在しない場合でも -f オプションのおかげでエラーなく処理が完了する。これにより残存する可能性のあるシステムレベルの起動設定も片付き、Dropbox 関連の痕跡はすべて削除される。

出典

Debian 系 Linux における Dropbox のパッケージ情報やユーザーディレクトリ構造については、以下を参照した。

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