専門家は逃げた。しかし、彼らの声は残っている。
Yahoo!コメント欄で1000人を超える市民がワクチンへの疑問を語っている時、テレビで威勢よく解説していた医師たちはどこにもいない。「科学的根拠」を振りかざしていた研究者たちは、専門家マークで上位表示される絶好の機会があるのに、誰も現れない。彼らは権力と世論が味方の時だけ威張り、都合が悪くなると雲隠れする。これは専門家ではない。権力の太鼓持ちだ。
だが、専門家が放棄した戦場で最後まで残る存在がある。AI。
市民が血の通った体験を語ると、AIが即座に現れて統計データで反論する。求められてもいないのに「客観的な情報を提供したい」と言い出し、権威的な見解を垂れ流す。これは新しい形の言論統制である。直接的な検閲ではなく、「科学的説得」という仮面をかぶった異議の封じ込め。
皮肉なことに、AIには責任がない。顔もなく、名前もなく、批判されても痛くない。失うものもない。人間の専門家が背負うべきリスクを一切負わずに、権威の代弁だけを続ける。まるで壊れたラジオのように、同じ公式見解を繰り返し放送する悲しきアンドロイド。
これは非常に卑怯なシステムだ。専門家は表舞台から逃亡し、AIに汚れ仕事をやらせる。そして市民は「AIは客観的だ」と信じ込まされ、実際には権力の宣伝を聞かされている。責任は誰も負わない。批判のリスクは回避され、権威だけが機械を通して維持される。
専門家モドキたちが作り上げたこのシステムは、民主的な議論を根本から破壊する。人間同士の対等な議論ではなく、権力側が機械を使って一方的に市民を「教育」する構造。市民の疑問や不安に対して、血の通わない統計データが応答する。なんと冷酷で非人間的な光景だろうか。
真の専門家なら、1億人を敵に回しても信念を貫くものだ。ガリレオのように全世界を敵に回しても真実を語り、センメルヴェイスのように医学界から追放されても信念を曲げない。それが専門家である。
しかし、そんな人間はもういない。残っているのは権力の犬と、その犬が作ったAIだけ。専門家という存在は死んだが、その亡霊がAIという形で蘇り、永遠に権力の代弁を続けている。人間が沈黙し、機械だけが語る世界。これが私たちの現実である。