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SNS認証(ソーシャルログイン)がつらい話

最近、アプリやサービスにログインするとき、SNS認証をよく目にしませんか?「Googleでログイン」「Facebookでログイン」「Appleでサインイン」など、ボタンひとつで簡単に認証できる仕組みです。初めて利用するときも便利だし、スマホなら特にワンタップで手間が省けます。でも、実はこのSNS認証、少し危険な一面もあるのをご存じですか?

この記事では、SNS認証の便利さの裏に潜む問題点を解説し、伝統的なメールアドレスとパスワード認証の良さを再評価しつつ、理想の認証設計について考えてみます。


目次

SNS認証の問題点

1. どの認証手段を使ったか忘れがち

アプリを開こうとして「えっと、Googleアカウントだったかな?それともFacebook?」と迷ったことはありませんか?SNS認証を使うと、サービスごとに異なるSNSアカウントで認証してしまうことがあり、「どれでログインしたのか分からない問題」が頻発します。この混乱は、ユーザー体験として明らかに良くありません。

2. プラットフォーム依存のリスク

SNS認証は、実質的にそのプラットフォームに依存する形になります。その結果、以下のような問題が発生します:

  • 運営方針の変更:たとえば、Twitter(現在はX)がAPIを有料化した際、いくつかの外部サービスがTwitter認証を維持できなくなりました。
  • アカウント凍結や停止:もしSNSアカウントが凍結された場合、そのアカウントで紐づいているすべてのサービスへのアクセスを失うリスクがあります。

3. エラーの頻発

SNS認証は、意外とエラーの元になることがあります。プラットフォーム側の不具合や、仕様変更により認証が通らなくなるケースは珍しくありません。筆者自身、あるSNS認証を利用していたサービスで永遠にログイン失敗する状態になり、結局そのサービスを利用できなくなった経験があります。このような事態は、ユーザーにとって非常にストレスフルです。

4. プライバシーとセキュリティの懸念

SNS認証を利用することで、認証時にそのプラットフォームにデータが渡ります。これには、メールアドレスやプロフィール情報、場合によっては友人リストなども含まれる場合があります。ユーザーの意図しない形でデータが利用されるリスクがあるのです。


パスワード認証の再評価

1. パスワードは一貫性がある

メールアドレスとパスワードを使った認証は、SNS認証のような「どの認証を使ったか問題」がありません。一つのメールアドレスとパスワードで、すべてのサービスに一貫性を持たせることができます。

2. パスワード管理ツールで便利さアップ

最近では1PasswordやBitwardenなど、パスワード管理ツールが普及しています。これらを使えば、複雑なパスワードも覚える必要がなく、セキュリティを確保しながら快適に利用できます。

3. 自社管理のメリット

メールアドレスとパスワードを基本にすれば、ユーザーデータを自社で管理できます。SNSプラットフォームへの依存を避け、サービスの安定性と顧客データの所有権を確保できます。


理想の認証設計:SNS認証はオプションで!

SNS認証そのものを完全に否定するわけではありません。特にスマホやタブレットでは、SNS認証のほうが便利な場合もあります。ただし、それを「基本」に据えるべきではありません。以下のような設計が理想的です。

1. メールアドレス+パスワードを基本にする

すべてのユーザーが必ずメールアドレスとパスワードでアカウントを作成できる仕組みを提供するべきです。これが認証の「土台」となります。

2. SNS認証を補助的なオプションに

SNS認証はあくまで「オプション」として提供し、ユーザーの選択肢の一つに留めます。SNS認証で登録した場合も、必ずメールアドレスを登録し、後からパスワードを設定できるようにしましょう。

3. 認証履歴の可視化

「どの認証手段を使ったか分からない」という問題を解消するため、アカウント設定画面で認証履歴を確認できる機能を追加するのも一案です。

4. 多要素認証(MFA)の実装

SNS認証やパスワード認証にかかわらず、MFAを導入することでセキュリティを強化できます。これにより、万が一アカウントが流出しても被害を最小限に抑えられます。


結論:認証は自由であるべき

SNS認証は確かに便利ですが、それを基本にすると、ユーザーがプラットフォームに振り回される危険性が高まります。一方で、伝統的なメールアドレス+パスワード認証は、一貫性や独立性を持つ信頼できる選択肢です。

結局のところ、認証は「自由」であるべきです。ユーザーが自分の好みに合わせて選べるよう、SNS認証をあくまで補助的なオプションとし、メールアドレス+パスワードを基本とする設計を目指しましょう。それが、サービスの安定性とユーザー体験の両方を守る道です。

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