Windows Subsystem for Linux(WSL)は、Windows上でLinux環境を軽量に動作させる仕組みである。Go言語を利用する際も、Windowsネイティブ版よりもWSL環境にインストールすることで、Linux開発環境と同等の挙動が得られるため推奨される。本記事では、WSL上でGoをインストールする推奨手順を整理する。
環境の前提
本記事の手順は、次の環境を想定している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OS | Windows 10 / 11 |
| WSL バージョン | 2 |
| Linux ディストリビューション | Ubuntu 22.04 以降 |
| 管理者権限 | sudo が利用可能であること |
Goのバージョン管理やインストールパスに関する操作を行うため、ユーザーがシステムディレクトリへアクセスできることが前提となる。
公式バイナリによるインストール(推奨)
最も再現性が高く、常に最新バージョンを利用できる方法は、Go公式サイトからバイナリを取得して直接展開する手法である。この方法では、ディストリビューションに依存せず安定して動作する。
手順
- Go公式ダウンロードページ(https://go.dev/dl/)を確認し、最新版のURLを取得する。
- 以下のコマンドを実行してGoをインストールする。
wget https://go.dev/dl/go1.23.3.linux-amd64.tar.gz
sudo rm -rf /usr/local/go
sudo tar -C /usr/local -xzf go1.23.3.linux-amd64.tar.gz- 環境変数を設定する。
echo 'export PATH=$PATH:/usr/local/go/bin' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc- インストールを確認する。
go versionこれでGoの動作環境が整う。バージョンを切り替えたい場合は、同手順で新しいバイナリを展開すればよい。
APTによるインストール
UbuntuのパッケージマネージャであるAPTを利用してインストールすることも可能である。
ただし、APT経由で提供されるバージョンは古い傾向があるため、最新機能を利用する開発には適さない。
sudo apt update
sudo apt install golang上記でインストールされるバージョンを確認する場合は以下を実行する。
apt show golang軽量な開発環境を一時的に構築する場合や、システムアップデートと連動させたい場合にのみ選択肢となる。
asdfによるバージョン管理
複数バージョンのGoを利用したい場合、asdfなどのバージョン管理ツールを利用すると便利である。asdfはプラグインを追加することで、任意の言語を統一的に管理できる。
sudo apt install git curl
git clone https://github.com/asdf-vm/asdf.git ~/.asdf --branch v0.14.0
echo '. "$HOME/.asdf/asdf.sh"' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
asdf plugin-add golang https://github.com/kennyp/asdf-golang.git
asdf install golang latest
asdf global golang latestこの方法では、プロジェクトごとにGoバージョンを固定できるため、チーム開発での再現性確保に有効である。
まとめ
WSL環境でGo言語をインストールする場合、最も安定して推奨されるのは公式バイナリを用いる方法である。APTによるインストールは簡便だがバージョンが古い傾向にあり、長期的な利用には不向きである。複数バージョンを扱う必要がある場合はasdfを導入するのが適している。
本記事の手順に従えば、WSL環境上でGo言語の開発を迅速に開始できる。