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「シコる」という俗語の成り立ちと語源

男性の自慰行為を指す俗語として広く定着している「シコる」という動詞は、オノマトペである「シコシコ」が動詞化したものと考えられています。日本語において名詞やオノマトペの末尾に「る」を付けてラ行五段活用化させる俗語形成のパターンを踏襲したものです。

この「シコ」という音の根底にあるのは、実際の摩擦音ではなく、細長いものを手で握って擦り上げる動作を意味する「しごく(扱く)」という動詞の語感です。この「しごく」という動作の感覚が、反復動作を表すオノマトペ「シコシコ」へと転訛・擬態語化し、昭和中期以降のスラング文化や成人向けメディア、インターネットを通じて広く一般化していきました。

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擬音語と擬態語のズレが生む違和感

創作物や成人向け描写において、実際の行為中に生じる物理的な摩擦音としては「シュッシュッ」や湿った接触音などが用いられるのが一般的です。一方で、描写の効果音として「シコシコ」と表記される例はほとんど見られません。

この事実は、現代の私たちが実際の音を「シコシコ」と認識しているわけではないことを示しています。つまり、「シコシコ」は物理的な音を再現した擬音語ではなく、反復的な摩擦動作の様態を表した擬態語であり、さらには行為そのものを指す抽象的な記号(スラング)として機能しています。母語話者が抱く「これはシコシコという行為である」という感覚は、客観的な音響再現というよりも、文化的な慣習や後付けの共通認識によって成り立っている側面が強いといえます。

外国人学習者から見た受容と感覚の乖離

日本語を学ぶ外国人にとって、この「シコシコ」という表現は直感的な理解が極めて難しい言葉の一つです。日本語学習の過程において、「シコシコ」は本来の用法である「うどんなどの麺類にコシや弾力があるさま」を表す形容表現として習うのが一般的であるため、俗語の意味を知った際には強い意味の断絶と混乱を生じさせます。

英語における「fap」(皮膚の接触音に由来する擬音)や「jerk off」(引っ張る動作に由来する動詞句)のように、他言語のスラングも音や動作に根ざしていますが、日本語の「シコる」は「しごく」という日本語固有の動詞の語感に深く依存しています。そのため、語源的な背景や日本語の動詞変化の文脈を共有していない外国人から見ると、音響的な手掛かりが全く存在しない暗号のような表現として受け取られます。

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