技術雑記– category –
-
技術雑記
その正論が、チームを冷やす
アジャイルはチームワークの物語だと言われる。けれど現場で起きるのは、もっと不格好で湿ったドラマだ。 誰かが優秀すぎて、誰かが黙りこむ。コードは動くのに、会話が止まる。レビューは完璧なのに、空気が冷えていく。 理論で説明できることは少ない。心理的安全性、透明性、協働。言葉としては整っているが、現実では脆い。その脆さを見... -
技術雑記
有限の地面に立つ経済
金本位制が終わったとき、人類はひとつの錨を失った。貨幣はもはや現実と結ばれておらず、紙と数字の世界が独立した。金という物理的制約を失った経済は、信用と期待だけを動力とする巨大な装置になった。ブレーキを失ったエンジンのように、回転は速くなり、遠くまで走れるようになったが、いざ止まるときの方法を誰も知らなくなった。金利... -
技術雑記
プライバシーサンドボックスの帰結――知らぬふりをした支配の構造
参考記事:Google、「プライバシーサンドボックス」を実質終了 関連技術のほとんどを廃止へ - ITmedia NEWS 2019年、Googleは「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」という壮大な理想を掲げた。“ユーザーのプライバシーを保護しながら広告を最適化する”――そう聞こえはいい。しかし、現実は単純だ。「データの独占構造を再設計す... -
技術雑記
Windows 11のために新しいPCを買うことはサステナブルではない
いまやどの企業も「環境にやさしい」と唱えている。パッケージは再生紙、筐体はリサイクルアルミ、製造過程ではカーボンオフセット。しかし、その一方でユーザーには「旧製品はサポート終了」「最新モデルへ移行を」と迫る。この二枚舌が、現代のテクノロジー資本主義を象徴している。 環境を守るふりをして、実際には消費を維持するための環... -
技術雑記
コンピューティングと文明の転倒――進歩が退化を生む時代
Sandy Bridge。2011年に登場したこの名を覚えている人は、今や少数派かもしれない。だがそれは、ひとつの節目であった。コンピューティングの世界で「人間が必要とする性能」と「企業が供給し続ける性能」が決定的に乖離した瞬間である。あの頃のCPUを積んだパソコンはいまだ現役であり、ウェブもオフィスも動画編集も問題なくこなす。むしろ... -
技術雑記
永遠の食洗機とアルゴリズムの愚かさについて
無限の選択肢と、欠落する「欲しいもの」 いま、あらゆるコンテンツが指先一つで手に入る。YouTube、Netflix、Spotify、どれを開いても、無数の動画や音楽が流れ込んでくる。だが不思議なことに、この豊穣な世界で人はしばしば「欲しいものがない」と感じる。それは単なる贅沢でも気まぐれでもない。むしろ、供給が極まったがゆえの欠乏であ... -
技術雑記
雲の中に消える責任──ガバメントクラウドという現代日本の鏡
日本の「ガバメントクラウド」は、表向きには行政の効率化を掲げる。デジタル庁が旗を振り、AWSやAzureといった外資クラウドが並ぶ。だが、その設計思想を覗けば、単なる技術選定ではなく、国家の主権構造そのものが露出している。行政データを国外企業のクラウドに預けるとは、技術的合理性では説明しきれない決断である。セキュリティ要件... -
技術雑記
パンを食べるのに許可がいる――ソフトウェアが失った「自由」
2025年、GoogleはAndroidアプリ開発者に対して「開発者認証制度」を導入すると発表した。表向きはセキュリティ強化策であり、マルウェア対策を目的とする。だが実際の仕組みを見れば、これはサイドローディング文化の終焉を告げる宣告である。 F-Droidのような自由なアプリ配布サイトは、開発者登録を強制されればその存在理由を失う。なぜな... -
技術雑記
Yahooの亡霊と成り果てた王者Google
「我々は権威主義を打破した」と彼らは胸を張る。PageRankアルゴリズムを携え、Yahoo!のディレクトリ検索を時代遅れの産物として葬り去った。「人間が選ぶ時代は終わった。機械が民主的に判断する時代の始まりだ」。 そして彼らは勝利した。圧倒的に。 しかし、勝利の頂点で何をしているのか。 E-A-T(専門性・権威性・信頼性)。YMYL(Your ... -
技術雑記
AIサブスク200ドルの自己欺瞞 ~現代のピラミッド建設者たち~
狂気が始まった。月額200ドルという狂気が。 エンジニアたちが我先にとサブスクリプションに課金している。まるで投資だと言いながら、年間36万円を注ぎ込む。AIを使いこなさなければ時代に取り残される、という恐怖に駆られて。 しかし、問いかけよう。それで収入は増えたのか? 確かな支出が増えた人は無数にいる。しかし、それで稼げるよ...