東京都品川区が区立小中学校の給食をオーガニック化するというニュースは、一見すると「子どもたちの健康を守る素晴らしい施策」に思える。しかし、実際にはこれは税金の無駄遣いであり、根本的な問題を覆い隠す欺瞞 である。
本当に問題にすべきなのは、給食にかかる膨大なコストと、その割にあまりにも貧相な内容 だ。市民に重い税負担を強いる一方で、子どもたちはまるで病院食のような給食を食べさせられている。この構造こそが、今すぐに変えられるべき問題ではないのか。
区立小中学校の給食の全野菜をオーガニックに 東京・品川区 [東京都]:朝日新聞
1. 給食費は安くない、むしろ割高
多くの人は「給食費=給食にかかる全ての費用」と思っているが、これは完全な誤解だ。実際には、給食費は食材費にしか使われておらず、それ以外のコスト(人件費、光熱費、施設維持費など)はすべて税金で補填されている。
具体的に、給食1食あたりの本当のコストを見てみよう。
- 小学校の給食:1食あたり約700円(税金+給食費)
- 中学校の給食:1食あたり約900円(税金+給食費)
これは、街の定食屋で立派な定食が食べられるレベルの価格 である。
しかし、実際に提供されている給食はどうか?
- ツナコロッケ+白米+味噌汁+少量の野菜
- 品数が少なく、見た目も貧相
- ボリュームが不足しており、子どもが満足に食べられない
このコストでこの内容はあまりに酷い。
2. 「オーガニック化」では根本的な問題は解決しない
この状況で、さらに2800万円を追加し、野菜をオーガニックにすることにどれだけの意味があるのか?
- 野菜をオーガニックにしても、量が増えるわけではない
- 主菜のボリュームが増えるわけでもない
- 献立が改善されるわけでもない
- 調理方法が変わるわけでもない
つまり、子どもたちの給食の貧相さは何も変わらない。
それどころか、「オーガニック給食」という名目がつくことで、問題の本質が覆い隠され、給食の質の低さに目が向けられなくなる危険性 すらある。
3. 逃げられない顧客がいるのに、飲食店よりコスパが悪い
学校給食は本来、
- 確実な顧客(生徒)がいる
- 大量調理によるスケールメリットがある
- 土地代が不要(学校施設内で調理)
という強みを持つため、個人経営の飲食店よりも圧倒的に安く、高品質な食事を提供できるはず である。
しかし、現実には街の定食屋の700円の定食の方が、ボリュームも栄養価も優れている。
なぜこうなるのか?
- 役所の調達ルールが非効率で、競争原理が働かない
- 特定の業者が独占し、中間マージンが膨らんでいる
- 調理員の人件費や管理費が過剰に膨れ上がっている
- 無駄な事務管理費や事務作業がコストを押し上げている
つまり、学校給食は「逃げられない顧客」がいるのに、競争がないため改善されない構造になっている のだ。
4. 「子どもたちのため」ではなく、行政の自己満足
「オーガニック給食」を導入すれば、「子どもたちの健康のため」という大義名分を掲げることができる。
しかし、実際には子どもたちがより満足できる給食になるわけではない。
むしろ、この施策によって、
- 税金のさらなる浪費
- 給食の本質的な問題が隠される
- 「オーガニックだから良い」という誤った認識が広がる
といった弊害が生まれる。
これは、本当に「子どもたちのため」なのだろうか?
行政は、本来の有権者である納税者を犠牲にし、選挙権のない子どもたちをダシにして「やってる感」を出しているだけ ではないのか?まるで、「明日の食事にも困る労働者に、金箔入りの日本酒をお猪口で与えて喜ばせるようなもの」 だ。
5. 本当にやるべきは「給食の質の向上」
本当に子どもたちのためを思うなら、
- 量を増やす(お腹いっぱい食べられることを最優先)
- 献立を改善する(栄養価が高く、満足度の高い食事へ)
- 調理方法を見直す(味や食感を良くする工夫を)
- コストの無駄を削減し、適正価格にする(税金の無駄遣いをなくす)
といった施策が優先されるべきではないか。
6. 結論:これは「子どもたちのため」ではなく、行政の欺瞞である
- 給食にはすでに「定食屋で立派な食事ができるレベルの税金」が投入されている
- にもかかわらず、提供される給食は「病院食・刑務所レベル」
- その問題を解決するのではなく、さらに2800万円を投入して「オーガニック化」
- しかし、実際には給食の貧相さは変わらない
- 本当にやるべきは「給食の質の向上」なのに、税金の使い方を間違えている
これは、子どもたちのための施策ではなく、行政が「やってる感」を出すための欺瞞 でしかない。
本当に子どもたちの健康を守りたいなら、まず「まともな食事を提供すること」が最優先されるべきである。