日本政府は少子化対策として莫大な予算を投じ続けている。しかし、その効果は乏しく、むしろ少子化は加速している。こども家庭庁の設立や育児支援政策など、名目上は「子育て支援」に向けられているが、実際には本質的な問題を解決していない。
根本的な問題は「育児環境」ではなく、そもそも未婚率の増加である。にもかかわらず、政府は増税によって経済的安定を奪い、結婚を遠ざける施策を続けている。この矛盾を解き明かしていく。
1. 少子化の本質は「未婚率の増加」
少子化対策の多くは「子供を持つ家庭」に向けられているが、実際の少子化の本質は「未婚率の上昇」にある。事実として、
- 既婚者の子ども数は大きく減少していない
- 一方で、未婚率は年々上昇している
- 結果として、出生数の絶対的な減少が進行している
政府の政策は「既に子どもを持つ家庭」に焦点を当てるが、「結婚に踏み切れない若者」の問題を解決していない。出生率の低下は、結婚できる層が減っていることが原因であり、育児支援だけでは解決しない。
2. 増税が若者の経済的安定を奪い、結婚を遠ざける
政府は少子化対策のために財源を確保する目的で増税を進めているが、これがむしろ未婚率を高め、少子化を加速させている。
- 社会保険料の負担増 → 手取り収入の減少
- 消費税や住民税の増加 → 可処分所得の減少
- 年金負担の増大 → 若年層の貯蓄意欲の減退
結婚には安定した経済基盤が必要である。しかし、税金や社会保険料の負担が重くなることで、若者は将来への不安から結婚を躊躇する。
特に、
- 賃金が30年間ほぼ上がっていない現状での増税
- 生活費の上昇や住宅価格の高騰
こうした環境下で「子どもを持つこと以前に、結婚そのものが遠のく」ことは当然の帰結である。
3. 失敗し続ける政府の少子化対策
政府は何度も少子化対策を掲げてきたが、その効果はほとんど見られない。
- 1994年「エンゼルプラン」
- 2000年「新エンゼルプラン」
- 2004年「次世代育成支援対策推進法」
- 2010年「子ども・子育て支援法」
- 2023年「こども家庭庁」
しかし、これらの対策にもかかわらず、出生率は下がり続けている。なぜなら、根本原因(未婚率の上昇、経済的不安)を解決していないからである。
特に、これらの政策のほとんどが「子どもを持つ家庭」向けであり、「結婚を促す施策」ではない。結婚する人が増えなければ、いくら育児支援を拡充しても出生数は増えないのは当然だ。
4. 過去30年、増税とともに出生率は低下し続けた事実
政府のデータを見ても、
- 1990年代前半:消費税導入(3%) → 出生率1.5
- 1997年:消費税5%へ引き上げ → 出生率1.4
- 2014年:消費税8%へ引き上げ → 出生率1.3
- 2019年:消費税10%へ引き上げ → 出生率1.2
- 2023年:出生数80万人割れ(過去最低)
こうした数字は、増税とともに出生率が確実に下がっていることを示している。増税が唯一の要因ではないが、税負担の増大が若年層の結婚・出産を直接的に圧迫していることは無視できない。
結論:増税で少子化は解決しない、むしろ加速する
政府が「少子化対策」として増税を続け、育児支援を拡充しようとする試みは、むしろ逆効果である。実際には、
- 未婚率の増加が本質的な問題であるのに、その解決策が示されていない
- 増税が若者の経済的安定を奪い、結婚のハードルを上げている
- 政府の少子化対策は効果がないどころか、むしろ状況を悪化させている
- 過去30年間、増税とともに出生率は低下し続けている
解決策は明確だ。少子化対策として増税するのではなく、むしろ減税し、若者が安心して結婚・出産できる環境を整えるべきである。
政府が掲げる「1.8」という出生率の目標は、今のままでは到底達成不可能だ。むしろ、税負担の軽減、雇用の安定化、そして社会全体の経済的豊かさの回復こそが、少子化の本質的な解決につながるだろう。