FPGA(Field Programmable Gate Array)を使って設計を行う際、以下の3つの主要なステップがあります。これらは設計をハードウェア上で動作するように準備するために欠かせません。それぞれのステップについて初心者向けに解説していきます。
合成(Synthesis)
合成とは?
合成は、HDL(Hardware Description Language)で記述された設計(VerilogやVHDLなど)を、FPGA内部で実際に動作する論理回路に変換するプロセスです。ソフトウェアコードのコンパイルに似ていますが、ここではソフトウェアではなく、ハードウェアの設計を行っています。
なぜ合成が必要か?
FPGAはハードウェアなので、設計が論理ゲートやフリップフロップなどの低レベルの回路で動作する必要があります。合成は、抽象的なHDLの記述を、FPGA内で実際に使われる回路(ゲートレベルネットリスト)に落とし込む役割を担います。
ポイント
- HDLで書いたコードが、どのような回路に変換されるか確認するステップ。
- 効率的な回路が生成されるかどうかは、HDLの書き方次第。
実装(Implementation)
実装とは?
実装は、合成後に生成された回路(ネットリスト)を、FPGA内の物理リソース(LUT、フリップフロップ、配線など)に割り当てるプロセスです。FPGAの内部構造に応じて、どのリソースがどの回路を実装するかが決められます。
なぜ実装が必要か?
FPGAは大量の論理セルや配線を持っていますが、どこにどの回路を配置するかを決めなければなりません。効率的に回路を配置しないと、配線が長くなり、遅延が生じる可能性があります。実装は、性能(スピード)やリソースの効率的な使用を左右する重要なステップです。
ポイント
- 回路の配置と配線が最適化されるかがポイント。
- この段階でタイミングチェックが行われ、目標のクロック速度に達しているか確認される。
ビットストリームの生成(Bitstream Generation)
ビットストリーム生成とは?
ビットストリームは、FPGAにプログラムするための最終的なデータファイルです。実装が完了した回路をFPGAに書き込むための形式に変換するプロセスが、ビットストリーム生成です。
なぜビットストリームが必要か?
FPGAはプログラム可能なデバイスですが、単にHDLやネットリストを渡すだけでは動作しません。FPGAの構成メモリに、具体的にどのリソースをどう使うかを指示するバイナリデータが必要です。ビットストリームは、その指示をFPGAに伝えるためのものです。
ポイント
- ビットストリームが生成されたら、それをFPGAに書き込むことで回路が実際に動作。
- ビットストリームの生成後、FPGAにロードし動作を確認する。
まとめ
- 合成(Synthesis):HDLの設計を論理回路に変換。
- 実装(Implementation):FPGA内のリソースに回路を効率よく配置。
- ビットストリーム生成(Bitstream Generation):FPGAに書き込むためのバイナリデータを生成。
これらのステップは、それぞれのプロセスが異なる役割を持ち、全てが揃って初めてFPGA上で動作する設計が完成します。